ユング心理学の集合的無意識から学ぶ

科学/心理学

ユング心理学の集合的無意識から学ぶ

人間の心には、意識と無意識があります。
心理学の世界では、意識は氷山の一角のようなものに過ぎず、心の中に大きな 無意識の世界が広がっていると言われています。
そして無意識の奥底には、集合的無意識という、人類全体の共通した意識にもつながっていると・・・。

まさに科学という立場から、生命の真理に迫った証ですね。

この動画では、意識と無意識という人の心を学びつつ、
人間の意思の力が、この世界という現実を創り、未来を変えていくだけの力があることを、心理学の視点から考えていきましょう。

意識とは、自分でわかっている心のこと。
すでにある知識や、頭で考えていることはもちろん、自分で感じる、うれしい、悲しいなどの感情も、意識です。

無意識は、自分でわかっていない心のこと。
心の中には確かにあるのだけれど、わかっていない、または、わからない心です。
なぜだかわからないけれど、何かが不安、怖いといった感情として、なんとなく感じることもあるかもしれませんね。

意識を顕在意識、無意識を潜在意識とも呼びます。
表に現れている心と、元々あるけれど、表には出てきていない心、と捉えるとわかりやすいです。

もし、子供の方がこの動画を見ていたら、少しむずかしいって思うかも・・・
でも、むずかしいと感じているのは、「言葉」がむずかしいだけで、意識のレベルなだけですよ。
心の中のことは、大人以上に、子供の方がよくわかっているのですからね。
なぜなら、人間は成長すると共に、心に霧がかかって、心の奥が見えなくなっていくから・・・。

だから、子供のうちにこそ、無意識の情報を「言葉」として学ぶことで、意識の中にたくさん持ってくるといいと思う。大人になったら、なかなか難しいから。

人間の生命は、宇宙生命と同一です。
宇宙生命を、広大な海ととらえた場合、人間の生命は、波のようなもの。
波といっても海のこと。波は海の「働き」についた名前でしかありません。

子供が成長するにつれ、自我が芽生えます。
そして自我を成長させ、自分が人間として生まれてきた目的、自己実現を目指します。

自我とは、自分を自分と認識する心。
自分は、他人とは違うと、「他」 の存在を理解する心。
こうして、宇宙生命から独立したかのように感じるために、本当は宇宙生命と同じだとわかっている心を 忘れる必要があるのでしょうね。
だから大人になるにつれ、知識は増えるけれど、心に霧がかかったかのように、真実が見えなくなっていくのですよ?

子供が、大人には見えていない真実が見えているのは、このためです。
でも自我が強く育ちすぎると、自分ばかりを大切にする心も強くなり過ぎるのでしょうね。
現実の欲などに溺れてしまい、どこかで大きな失敗をしてしまう場合がほとんどです。

こうして大きな悩みや試練にぶつかってしまった時に、もう一度、宇宙生命である 私を思い出したいとの心が高まるのではないでしょうか。

近代心理学に大きな功績を残したユングは、人間の無意識の中には、個人的無意識と 集合的無意識があるとされました。
私たちの心の深いところには、人類全体の意識が眠っており、全ての人の心はつながっているということです。

例えば、母と言えば優しく暖かい。父はちょっと厳しい(笑)といったイメージが、生まれた時からありますね。
このような人類共通の認識を、アーキタイプ(原型)と呼びます。
だから、占星術などでも「この星座には、このアーキタイプの特徴が出ている」という裏付けがあって、現代の解釈の基盤となっているのですね。

さて、今回の一番のテーマに戻りますね。

この世界は、人間の意思が創っていると言いました。
確かに、前向きな考え方で生きている人と、後ろ向きな方では、未来は違ってくるでしょう。
でも、どんなに強く思っても、そんなに簡単に 現実は変わらないことも、誰もが経験しているはず。

そもそも人類の歴史が、人の想い通りに行かないことを物語っていますね。
世の中に起きている、たくさんの悪いことも、人類の意識が「このままではダメだ。何かを大きく変えないと」と感じているからかもしれません。

人間の意思とは、意識だけではなく、無意識の心も含まれます。

自分がどんなに強く思っても、無意識の心が 反していたら、現実が考えた通りに動かないのかもしれません。
もちろん、人類全体の想い、集合的無意識に反していても、想いは実現しないでしょう。

だから「人としての正しい道」から外れてしまった場合、一時的な形はつくれても、最後には必ず崩れていくのだと思います。

逆に言えば、自分の意識が、無意識の心と一致した時は、現実の世界を変えるほどの可能性があることを、意味しているのではないでしょうか。

例えば、遠く離れた大切な人に、純粋で強い想いを描いたとしましょう。
その想いが宇宙生命と一体化した時、相手の生命も同じ宇宙生命につながっているのですから、
宇宙生命は、相手の心を、無意識から動かしていくはず。

だから純粋な想いは、絶対に他者にも伝わり、他者の心はもちろん、周りの現実という 環境さえも動かしていく力があるのだと思います。

無意識の世界は自分には見えません。
頭でどんなに自分の心を探っても、無意識の心にたどり着くのは難しいでしょう。

でも、何かをきっかけに、自分の無意識の心を感じた時、
あふれるような感情が湧き出してきます。
理由がわからない感情が、正解に辿り着いた事を教えてくれます。

一度自覚できた無意識の心は、意識と一体となります。
心全体の 意思の中から生まれた 本物の行動こそが、未来を力強く切り拓いていくのでしょう。

子供の頃の純粋な心は、大人に比べ、シンプルに働きます。
子供の「好き」という心は、無意識の答えを映し出す鏡なのかもね。

私たち大人も、心の中にある「無邪気な子供心」を思い出すことが、大切なのかもしれませんね・・・